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◆第14話 2004.6.1  〜水の想い出〜
 同級生でもあり中学校時代は同じ剣道部でもあった(株)根本工務所 根本社長さんの書いた文章(水の想い出)が、【生涯学習情報誌 フォンズ】(第19号 2004年5月5日発行)の表紙に掲載されましたので、ご紹介致します。


 「川ガキ 山ガキ」という言葉そのままだった少年時代の私にとって、家の近くを流れる里川は、最も身近で大切な遊び場だった。
 冬、その支流・法子沢の上流にできる何本ものツララは、天然のアイスキャンディーに早変わりした。寒さが一層厳しくなり、里川の本流が凍る「シガ」がやって来ると、子ども達は拾ってきた棒切れで我先に水面の氷を割っては大はしゃぎをした。川岸を淡いピンクに染めた桜の花が若葉に変わり、その緑がますます色を濃くする頃はトンボの羽化の時期になる。登校途中で偶然その瞬間に立ち会い、神秘的な生命の不思議に息を殺して見入っては遅刻をした事も、一度や二度ではない。夏の太陽が照りつける下、男子は皆、漁師に変貌し、川でつかまえた魚の数は、テストの点数よりずっと重要で、宿題の日記に誇らしげに漁獲高を書き込んだりした。秋には大きく育った鮎を食卓に並べて、得意顔をしていたこともあった。
 今の子ども達にも、こんな「スローな」時間を体験してもらいたい。五感を刺激することは、心の豊かさと生きる力を育むでしょう。

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